帯状疱疹とは
帯状疱疹は、体の一部分に帯状に赤い発疹や水ぶくれが現れ、強い痛みを伴う病気です。原因は、水ぼうそうの原因ウイルス(⽔痘・帯状疱疹ウイルス)が再び活性化することで起こります。
多くの方は治療で改善しますが、早期治療を行わないと痛みが長期間残ることがあるため、疑わしい初期症状を感じた際は早めに皮膚科を受診してください。
症状
帯状疱疹は、顔・体・腕・足など体のどこにでも発症する可能性があります。
- 初期症状:体の片側にチクチク・ピリピリした痛みや違和感が出る
- 数日後:神経に沿って体の片側に帯状に赤い発疹や水ぶくれが多発し、痛みが強くなる
- 回復期:水ぶくれは次第に乾いてかさぶたになります。まれに皮膚がただれる(潰瘍)こともあります。
痛みは個人差が大きく、軽いものから夜間眠れないほどの強い痛みまでさまざまです。まれに筋力低下を伴うこともあります。
部位による特徴
顔に出た場合
目の周りにでた場合には角膜炎・網膜炎など、耳の周りにでた場合には難聴、めまい、顔面神経麻痺などを引き起こすことがあり、症状に応じて眼科・耳鼻科の受診が必要になることがあります。
陰部周囲に出た場合
排尿・排便がしづらくなることがあります。泌尿器科の受診が必要になることがあります。
重症例(髄膜炎)
ごくまれに髄膜炎を合併し、頭痛・発熱・嘔吐を伴います。入院治療が必要となります。
原因と発症しやすい状況
水ぼうそうにかかった後、ウイルスは神経節に潜伏します。次のような状態ではウイルスが再び活性化しやすく、帯状疱疹を発症しやすくなります。
- 50歳以上
- 免疫力の低下(疲れ・ストレス・睡眠不足)
- 免疫抑制剤の使用
- がんや慢性疾患による免疫低下
- 不規則な生活など
近年は社会環境の変化により、20〜50代の発症も増加しています。
検査
ほとんどの場合、診察で診断が可能です。単純ヘルペスやとびひと似ている場合には、ウイルス検査を行うことがあります。
治療
帯状疱疹の治療は「抗ウイルス薬」「鎮痛薬」「外用薬」を組み合わせて行います。
■抗ウイルス薬
アメナリーフ、ファムビル、バルトレックスなどの抗ウィルス薬 を7日間内服します。
発疹が出てからできるだけ早期 (発症してから3日以内,遅くとも5日以内)に治療を開始することが重要です。
■鎮痛薬
- 軽度:カロナール
- 中等度以上:ロキソニン、トラムセットなど
- 痛みが非常に強い場合:神経ブロックなど
■ 帯状疱疹後神経痛への治療
痛み強い場合や、痛みが1か月以上残る場合(帯状疱疹後神経痛)、一生痛みが続いてしまう恐れもあるため、しっかり神経痛の治療を行う必要があります。
リリカ・タリージェなどの神経障害性疼痛薬が有効で、少量から開始し徐々に増量します。メチコバール、ノイロトロピン、トリプタノール、漢方薬を併用することもあります。痛みが非常に強い場合には、神経ブロックが必要になるため、大病院へご紹介させていただきます。
■ 外用薬
外用薬は必須ではありませんが、症状に応じて以下を使用します。
- 非ステロイド抗炎症薬(スタデルム軟膏、アズノール軟膏など)
- 抗菌薬(アクアチム軟膏、ゲーベンクリームなど)
日常生活での注意点
皮膚を清潔に保つ(泡立てた石けんで1日1回やさしく洗う)
神経痛は冷えると悪化するため、体を冷やさないようにし、お風呂などで温めると楽になることがあります。
- 水疱はやぶらない
- 発疹部分はこすらない
- 十分な睡眠と休養をとる
周囲の人への感染について
大人は多くの方が免疫を持っているため、帯状疱疹の患者さまと接しても感染することはまずありません。
しかし、水疱瘡になったことがない小さなお子様には水疱瘡としてうつることがありますが、発疹をガーゼや衣服で覆うことで感染の恐れを低下させることができます。
予防(ワクチンについて)
帯状疱疹には2種類のワクチンがあり、50歳以上の方では発症予防・重症化予防に有効です。
自治体によっては助成を受けられる場合があります。
帯状疱疹をはじめとする皮膚トラブルは、適切な治療が遅れると痛みの長期化や色素沈着などにつながることがあります。当院の皮膚科では、加齢や内臓の不調、感染症、虫刺されなど多様な原因による症状に幅広く対応しています。
少しでも「いつもと違う」と感じたら、悪化を防ぐためにも早めにご相談ください。内科・消化器内科を併設している強みを活かし、全身の状態を踏まえた診療で適切な治療方法をご提案します。ご自宅でのケアについても、わかりやすく丁寧にアドバイスいたします。


