十二指腸潰瘍とは?
十二指腸は膵臓や胆嚢と繋がっており、胃からの消化物を膵液や胆汁と混ぜて、腸で吸収しやすくしている役割があります。膵液や胆汁は、アルカリ性の性質を持ち、胃酸の混じった強酸性の消化物を中和する働きがあります。
この仕組みがどこかで乱れてしまうと、十二指腸粘膜が胃酸によって溶かされて十二指腸潰瘍となり、胃潰瘍と似た症状をあらわします。潰瘍が疑われる時は、主に胃カメラ検査を行います。
十二指腸潰瘍の原因は?
十二指腸の働きに障害が起こる原因として、一番多いのはピロリ菌感染と言われています。
さらに、ストレスなどの精神的要因、暴飲暴食や飲酒・喫煙習慣といった生活習慣の問題が加わることで胃酸分泌過多が憎悪し、胆汁・膵液の働きが弱くなることで十二指腸潰瘍となります。
十二指腸潰瘍の症状
十二指腸潰瘍は、みぞおち辺りの痛み(心窩部痛)が主な症状で、進行した場合は腹部から背中にまで痛みが拡がることがあります。痛みは、食前、食間など空腹時にあらわれやすい傾向があります。また、夜間や早朝などに痛みで目が覚めることもあります。その他の症状としては、吐き気・嘔吐、胃もたれ、胸やけなどがあり、胃潰瘍と似ています。また、ほとんどこのような症状があらわれないこともあります。
潰瘍が深くなると、出血しやすくなり下血が起こりやすくなります。さらに、穿孔などのリスクも高くなります。
十二指腸の腸壁は、比較的薄く、進行することですぐに穿孔になってしまう可能性もありますので、少しでも違和感がある場合はいつでもご相談ください。
十二指腸潰瘍の検査・診断
問診によって十二指腸潰瘍が疑われる場合は、確定診断をするために胃カメラ検査を受けていただきます。
胃カメラ検査は、辛い、きついという印象があると思います。現在では、検査装置や医師の検査技術の向上などが進み、ほとんど苦痛を感じない胃カメラ検査が可能となりました。また、苦しさが少ない鼻からの検査も行っています。それでも胃カメラ検査に抵抗のある方には、鎮静剤を使用し、うとうと眠っているような状態のまま検査を済ませることができる方法もご用意していますので、お気軽にご相談ください。
十二指腸潰瘍の治療は?
十二指腸潰瘍の治療は、胃潰瘍と同様、胃酸分泌抑制薬、粘膜修復・保護薬などによる薬物療法を行います。そして、薬物療法と同時に食事療法も行います。できるだけ消化が良く、胃酸の分泌を増やさないようなものを、何度かに小分けにして摂るようにします。
また、ピロリ菌感染が原因となることが多いため、ピロリ菌が陽性の方は、症状が落ちついてから除菌治療を行います。
十二指腸潰瘍はどれくらいで治る?
十二指腸潰瘍の場合、個人差はありますが、約6週間の薬物療法によって8割程度は治ります。
しかし、十二指腸の腸壁は薄いため、潰瘍によって深く障害されたり狭窄が起こったりします。また、穿孔してしまった場合には、手術療法が必要となります。そのため、手術の程度に応じて治療期間も長くなる可能性があります。
手術が必要な場合は、連携する高度医療機関を紹介させていただいています。
十二指腸潰瘍で避けたほうが良い食事
十二指腸潰瘍の場合、胃酸と消化液のバランスが乱れてしまうことが大きな発症の要因となります。
胃酸の分泌を促すようなもの、消化に時間のかかるものを避けることが大切です。具体的には、脂肪分の多いもの、食物繊維の多いもの、酸味の強いもの、香辛料、カフェイン、酒類、極端に熱いもの・冷たいものなどです。
消化に良いものをバランス良く、規則正しく食べることが大切です。