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胸やけ

胸やけってどんな状態?

胸やけは、みぞおちのあたりに何か熱いものがせり上がってくるような、じりじりとした灼けるような感覚の症状を指す言葉です。胸やけは、強い酸性をもつ胃酸や消化酵素が混じった胃の内容物が食道へと逆流している時にあらわれる症状で、吐き気やむかつきと似ているところもありますが、実際には異なった仕組みから起こっているものです。
食べ過ぎや飲み過ぎといった一過性の原因から起こることもありますが、慢性的に症状が続くようなら何らかの病気が原因とも考えられますので、一度当院の消化器内科までご相談ください。


胸やけの原因

胸やけは前述の通り、胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流することで起こる症状で、専門的には「酸逆流症状」の1つに数えられています。
胃には、食道から入ってきた食べ物を強い酸性の胃酸や消化酵素の混ざった胃酸でドロドロに溶かし栄養を吸収しやすくする働きと、食物に含まれる細菌などを殺菌する働きがあります。この強い働きによって胃の粘膜が溶けてしまわないよう、胃粘膜は特殊な粘液を出して自身を保護する仕組みができています。ところが食道粘膜にはその仕組みが無く、何らかの拍子に胃の内容物が逆流することで、強い刺激を受けて胸やけなどの症状があらわれることになります。逆流が起こる原因としては、普段噴門という胃の入り口をしっかり閉めている下部食道括約筋の筋力が緩んでしまうことや、腹圧が括約筋の筋力を上まわってしまうことによります。

日常生活上の原因と対処法

食べ過ぎ 飲みすぎ

食べ過ぎたり飲み過ぎたりすることで、食物が胃に滞留する時間が長くなって胃酸が過多になることや、胃の機能が低下してしまうことに繋がります。
それによって、逆流も起こりやすくなります。また食べてすぐ横になるような姿勢も胸やけを誘発しやすい習慣ですので避けるようにしましょう。
食事は規則正しく腹八分目が理想です。


刺激物や脂肪の多いものの摂りすぎ

脂っこいものや、香辛料の強いもの、刺激物などに偏った食事は、胃に負担をかけ胃粘膜を荒らしてしまう原因ともなります。
それによって逆流が起こりやすくなり、胸やけなどの症状があらわれます。食事の内容についてもバランスを考え、消化に負担のかかるものや刺激の強いものは適量に留めるようにしましょう。


胸やけの症状

胸やけの主な症状としては

  • げっぷや酸っぱい物の混じったげっぷ(呑酸)がある
  • ヒリヒリと灼けるような感覚

  • 胸に灼熱感があり、痛むような感覚

などがあり、さらに付随する症状としては

  • げっぷや酸っぱい物の混じったげっぷ(呑酸)がある

  • 喉がつかえるような感覚がある

  • 空咳が出る

  • 声が嗄れる、かすれる

  • 耳に痛みがある

などの症状があらわれることがあります。


胸やけを引き起こす病気

逆流性食道炎

胃の内容物が何らかの理由で逆流しても、健康な食道であれば胃の方向へと向かう蠕動運動によってすぐに胃に戻され一時的な胸やけ程度ですむのですが、何らかの理由で蠕動運動が低下しているような状態で胃の内容物が逆流し続けると食道粘膜に炎症が起こってしまいます。この状態が逆流性食道炎で、胸やけ、みぞおちの痛み、げっぷ・呑酸、喉のつかえ、声がれなどの症状があらわれます。日本では以前は加齢性のものとされ、あまり一般的な病気ではなかったのですが、近年の食生活の変化によって若い世代にも増加しているため注意が必要です。

逆流性食道炎

非びらん性胃食道逆流症

逆流性食道炎と同様、胸やけやみぞおちの痛みといった症状がありながら、検査をしても食道粘膜に炎症などの器質的変化が見られない場合、非びらん性胃食道逆流症を疑います。以前は逆流性食道炎の軽症段階と考えられていましたが、現在は機能性消化管障害の1つに分類されています。Non-Erosive Reflux Diseaseという英語の頭文字を取ってNERDと呼ばれるときもあります。


逆流性食道炎や非びらん性胃食道逆流症を放っておくと・・・?

生命にかかわるような重篤な病気ではありませんが、辛い症状で日常生活の質(QOL)が大きく低下することや、治療をやめると再発しやすいことがあり、じっくりと治療に取り組んでいくことが大切です。


逆流性食道炎を繰り返していると・・・

逆流性食道炎によって食道粘膜に炎症が続くと、扁平上皮でできている食道粘膜が噴門の側から少しずつ胃粘膜を構成する円柱上皮に置き換わってしまう現象があらわれます。
これをバレット食道(バレット粘膜)と言い、置き換わってしまった面積が広くなるほど食道がんの発症リスクが高くなることが知られています。一度バレット食道になると粘膜が元にもどる可能性は低いため、早期に適切な治療を行ってバレット化する面積を少しでも少ない状況に留めることが必要です。

機能性ディスペプシア

ディスペプシアとは聞き慣れない言葉だと思いますが、胃もたれなど胃の不快な症状をあらわす英語で、胃の調子が悪く受診する方の半数近くは機能性ディスペプシアであると言われるほど、今日一般的な病気の1つになっています。
胃痛や胸やけ、げっぷ、食べ始めてすぐおなかが一杯になってしまう早期飽満感など、胃のつらい症状がありながら、検査をしても胃など上部消化管に炎症やびらんなどの器質的障害や内分泌器官の障害も認められない場合に疑われる病気です。はっきりとした病変が見つからないため、これまではストレス性胃炎、神経性胃炎などと診断されることが多かったのですが、様々な研究の結果、胃の運動機能や知覚機能が何らかの要因で障害されていることから起こっていることがわかってきて、過敏性腸症候群やNERDと共に機能性消化管障害に分類されています。

機能性ディスペプシア

胃がん

胃がんは胃粘膜にできる悪性新生物(がん)で、かつての日本では罹患者数でも死亡数でも一番多いがんでした。近年は食生活の変化などが影響し、統計的には大腸がんなどが先行していますが、いまだに50歳代以上の男性に多い、一般的ながんの1つになっています。
早期のうちは自覚症状に乏しく、また多少進行しても胃もたれや胸やけ、胃痛といった一般的な上部消化管の症状が多く、見過ごされがちになりやすいため注意が必要です。
原因は、日本では90%以上がピロリ菌感染によるもので、除菌治療を行うことで発症のリスクを低減することができます。早期のうちに発見し適切な治療を行えば、それほど侵襲のない治療で完治も望めますが、放置してしまったり、スキルス性といわれる進行の早いがんを見過ごしたりすると治療が難しくなることもあります。定期的な胃カメラ検査などが重要になります。

食道アカラシア

下部食道括約筋は通常、食道を通って食物が近づいてくると緩んで噴門を開き、食物を胃に入れます。何らかの理由でこの働きが低下してしまうことによって、食物が食道内に滞留して、胸やけやつかえ感などのつらい症状があらわれます。同時に食道の蠕動運動も低下することが多く、さらに症状が増悪してしまいます。
食道アカラシアがあると、食道がんのリスクも増加すると言われていますので注意が必要です。

食道がん

喉と胃の間にある食道は平均的に25cmほどの長さですが、その粘膜上にできる悪性新生物が食道がんです。早期には食道粘膜内にがんが止まっている状態で「早期食道がん」と分類されていますが、進行して粘膜下層に至ると「表在食道がん」となり、さらに深くまで進行したものを「進行食道がん」と分類しています。日本人の場合は、食道の中央部あたりから発症することが多く、早期のうちはあまり自覚症状がありませんが、進行すると胸やけ、喉の痛み、声がれなど逆流性食道炎と似た症状があらわれます。
食道付近には、肺や心臓などの他大切な血管が集中しており、浸潤や転移が起こりやすく重篤な事態になりがちながんです。
女性より男性に多く、またお酒を飲むとすぐ顔が赤くなるタイプの方がなりやすいと言われています。胃カメラ検査などで定期的に食道粘膜の状態を確認しておくことが推奨されています。


胸やけの検査・診断方法

胃カメラ検査

胸やけは、幅広く上部消化管の不具合の際にあらわれる症状の1つです。考えられる病気としては、逆流性食道炎、食道がん、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、機能性ディスペプシアなど多岐にわたりますので、どんな病気が原因で胸やけが起こっているのかを突き止めることが診断のために大切な過程となります。そのため、問診などで詳しいお話を伺った上で、重要になるのが胃カメラ検査です。
当院では、胃カメラ検査に熟練した医師が、最新の検査システムを駆使して、正確でありながらスピーディーで辛さを最低減に抑えた検査を行っておりますので、胸やけなどの症状がありましたらいつでもご相談ください。

胃カメラ検査


胸やけの治療方法

胸やけ自体は、対症療法として胃酸分泌抑制剤などによる薬物療法で比較的簡単に症状が治まることが多い症状です。
しかし、何らかの病気によって胸やけが起こっている場合、大切なのは原因を適切に治療することです。
そのための治療法は原因となる病気によって異なりますが、生活習慣の改善などである程度良くなるものもあれば、薬物療法と併行して進めるものなど、患者様の容態に合わせて適切に治療してまいります。

薬物療法

胃酸過多になると逆流が起こりやすくなるため、基本治療薬としてはプロトンポンプ阻害約(PPI)やヒスタミンH2拮抗薬(H2ブロッカー)、イオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)などを第1選択とし、胃酸分泌を抑えることで辛い症状を緩和します。

 

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